鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

直ちに行動することは説得力を持つ

私が銀行に入社したばかりのころは、入社

後間もない若手の職員がATMの担当をし

ていました。


その際、ATMが故障したときは、真っ先

に利用者のところに行くように指導されて

いました。


すなわち、ATMの故障したときは、最初

に顧客のところへ行き、故障についてお詫

びします。


つぎに、預金の預け入れ、または、引き出

しについて、銀行の帳簿(顧客から見れば

預金通帳)の動きと、実際に預け入れした

現金、または、引き出した現金に相違がな

いかを確認してもらいます。


例えば、ATMに10万円を預け入れる操

作をしたところ、途中で動作が停まってし

まった場合、利用者には、実際にATMに

入れた金額と、通帳に記載された入金額が

一致していることを確認してもらいます。


ここまでは、当然のことを書いているよう

に思われますが、何をお伝えしたいかとい

うと、対応の順序とタイミングが大切とい

うことです。


というのは、前述のような順序ではなく、

ATMが故障してから復旧するまでずっと

利用者を待たせたてから、初めて利用者の

前に行き、「いま機械に入れた現金は10

万円ですか?」と尋ねたとき、もし、顧客

から「いや、機械に入れた現金は20万円

で、機械を修理している間に、お前が10

万円を抜き取ったのだろう」と言われてし

まうと、そうではないということを証明す

ることは難しくなるからです。


もちろん、前述は理解を容易にするために

顧客に悪意がある例を書いていますが、利

用者が入金した金額を勘違いしていること

もあり、銀行職員が現金を抜き取ることを

疑われないようにするには、最初に述べた

ように、故障した後、すぐに顧客の前に顔

を見せることが大切になります。


話がそれますが、多くのATMは、入金取

引のときに顧客が入れた現金は、顧客が金

額の確認ボタンを押すまで、ATMの他の

現金と混ざらないようになっており、修理

をする銀行職員に悪意がない限り、いくら

の現金が入れられたかはわかるようになっ

ています。


今回、ATMの故障をしたときの対応につ

いて述べた理由は、早い対応は説得力があ

るということです。


このことも、多くの方が理解されているよ

うで、実践されていない例を見ることも多

いと感じています。


例えば、大企業などで不祥事などがあった

とき、直ちに、責任者が説明をしないとい

うことは、いまでも見られます。


このような対応は、不祥事が起きたことだ

けでなく、誠実さが欠如しているという印

象を外部の人に与え、正常な状況に戻るこ

とが、より困難になります。


当事者としては、「まだ、公式に発表でき

る状況にない」、「調査や善後策が固まっ

てから説明した方がいいだろう」と考えて

いることでしょう。


しかし、これは考え方の違いではなく、何

が大切なのかを誤って理解しているか、単

に、保身のために、説明を先送りしている

だけであると言えます。


不祥事が起きたときは、その会社が全力で

調査や対応をしているかどうかを外部の人

たちは知りたいのであって、情報の「正確

さ」までは求めていないでしょう。


それを、「まだ正確な情報が得られていな

い」ということを言い訳にして、説明を先

送りしていると、ますます批判は大きくな

ります。


話を戻しますが、人は他人から批判される

と、どうしても、及び腰になってしまいま

す。


ただ、銀行職員の時代(だけでなく、現在

もそうですが)の私は、前述のATMの故

障のときだけでなく、もし、顧客との間に

トラブルが起きたときは、先方の勘違いや

言いがかりであるか、こちらの不手際であ

るかにかかわらず、すぐに顧客の前に顔を

出すことを心がけていました。


そうすることが、トラブルの解決を早める

ことになるからです。

 

 

 

 

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