鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

義理人情と合理性

山梨県の地場スーパーを運営していた株式

会社やまと元代表取締役社長の、小林久さ

んのご著書、「こうして店は潰れた:地域

土着スーパー『やまと』の教訓」

( https://amzn.to/2OBic19 )を拝読しま

した。


ちなみに、書名からもわかるとおり、小林

さんが経営していたスーパーやまとは、平

成29年12月に破産を申請し、平成30

年3月に甲府地裁にて破産宣告を受けてい

ます。


本題からそれますが、「会社はどういう経

緯で倒産するのか」という質問を、私はよ

く受けます。


それは、当然、それぞれの事例で異なるの

ですが、おおよそ、計画的(人為的)に倒

産する場合と、何かが引き金になって偶発

的に倒産する場合の、大きく2つに分けら

れます。


スーパーやまとの場合、後者の範疇に該当

します。


ただ、このような倒産の事例は、あまり公

表されないので、会社の倒産にご関心があ

る方にとっては、小林さんのご著書は参考

になると思います。


本題に戻ると、すでに同社が破産したとい

う結末が分かっているとはいえ、私は、小

林さんが、事業の経営にあたって、もっと

合理的に判断すればよかったのではないか

という感想を持ちました。


具体的な事例は、ご著書を読んでいただき

たいのですが、小林さん自身は利益が大切

と述べつつも、不採算なことも数多く実行

してきています。


ただし、短期的には不採算であっても、長

期的には採算が合うということもあるの

で、その面は判断の難しいところです。


また、会社経営は、生身の人間が、人間臭

く判断しているので、経済合理性だけで判

断できない場面も多々あります。


一方で、私は、小林さんのようなタイプで

はない、経済合理性を追求する経営者にも

たくさん会ってきました。


私としては、そういった人は、人間味があ

まり感じられなく、正直、苦手なタイプで

す。


でも、そういった経営者の方が経営する会

社は、人情味のあふれている経営者の経営

する会社よりも利益が出ていたり、事業も

長く続いていたりします。


このような事実から鑑みれば、感情的には

100%受け入れることができない面もあ

りますが、会社は存続することを最優先し

なければならないとも思っています。


今回の記事の結論は、明確にすることは難

しいのですが、会社経営は、人間らしさも

大切ですが、それだけでは事業を継続する

ことはできず、バランスよく経済合理性も

求めなければならないということです。


最後に付け加えさせていただくと、小林さ

んのご本は、会社を倒産させてしまったと

いう経験をお持ちの方が書いた本であり、

たくさん学べるところがありますので、多

くの方にお読みいただきたいと考えていま

す。

 

 

 

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