鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

自己資金なしの融資

先日、経営コンサルタント小山昇さんの

ラジオ番組を聴きました。


番組の中で、小山さんは、顧問先の製造業

の社長から、受注増にともなう工場新設に

あたり、4.5億円の物件を購入するかど

うかを相談され、自己資金の充当をせずに

全額を銀行からの融資で賄うよう回答した

そうです。


そして、その会社は、4.5億円全額の融

資に成功したそうです。


繰り返しになりますが、相談を受けた小山

さんは、工場の購入代金の全額の融資を受

けることが大切だとお話しされておられま

す。


これは、私も賛成できる面がありますが、

一般的には、設備購入のための融資の全額

の融資は銀行は承認しません。


(ご参考→ https://goo.gl/iU8gu2


では、なぜ、前述の製造会社は工場購入代

金の全額の融資を受けることができたのか

というと、実際の理由はわかりませんが、

私は次のように想像しています。


増産のために新たな工場を取得すると、そ

れに付随して運転資金が必要になります。


具体的には、材料費、外注費、新たに雇用

する従業員の賃金などです。


したがって、銀行が工場の取得のための融

資の申し込みを受けたときは、まず、新工

場稼働後の資金繰計画を確認します。


この計画によって、前述の運転資金がいく

ら必要になるかがわかります。


そして、工場の購入代金だけでなく、それ

らの運転資金も融資の対象として検討しま

す。


したがって、前述の会社が、4.5億円の

全額の融資に成功したとはいえ、それは、

4.5億円のうち、80%を工場購入代金

として、20%を運転資金として融資した

と私は考えています。


ちなみに、小山昇さんが全額の融資にこだ

わったのも、工場購入のために自己資金を

支払ってしまうと、工場が稼働した後の運

転資金が確保できなくなるという考え方に

よるものです。


結局、仮に、4.5億円の20%の自己資

金を条件に工場の購入代金の融資を受け、

同時に、4.5億円の20%の運転資金の

融資も受ければ、結果として、4.5億円

の融資を受けることになります。


小山さんは「全額」ということばを強調し

ていますが、工場の購入のための融資を受

けるにあたっては、自己資金が必要という

ことに変わりはないと私は考えています。


それと同時に、しっかりとした資金繰計画

を立て、工場稼働後に運転資金が不足して

しまうということにならないよう、注意も

必要です。

 

 

 

 

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