鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

固定費のわな

先日、知人のコンサルタントから、「顧問

先から、経費削減を理由に、顧問契約を切

られた」というお話をききました。


そのコンサルタントの方はとても優秀な方

であり、コンサルティングスキルに問題が

あるとは思えないため、契約解除は、顧問

先の都合によるものなのだと思います。


そして、私はこのお話を聞いたとき、もや

もやするものを感じました。


というのは、コンサルティングは受けなく

てもいいのではと思えるくらい業績のよい

会社ほど、積極的にコンサルティングを活

用している一方で、この会社は業績があま

り芳しくないので、コンサルティングを受

けることが望ましいと思える会社ほど、コ

ンサルティングを受けることを嫌うという

傾向があるからです。


このように書くと、私自身がコンサルタン

トなので、コンサルタントの立場を擁護し

ていると感じられてしまうかもしれません

ので、別の例を挙げたいと思います。


私が会社勤務時代に、職場の懇親会を開い

たとき、ある大手チェーンの居酒屋を利用

しました。


そのとき、飲み放題つきのコース料理を注

文したのですが、その日は店員の方の数が

少ないようで、注文した飲み物がなかなか

出てきませんでした。


そのため、飲み放題の制限時間の2時間の

うち、3杯ほどしか飲み物を飲むことがで

きませんでした。


そのことは、店員の方もわかっており、こ

ちらから申し出をしていないにもかかわら

ず、「飲み物を出すのが遅くなって申し訳

なかったので、30分間時間を延長させて

いただきます」と謝罪がありました。


では、なぜ、そのお店の店員の方の数が十

分でなかったのか、その本当の理由を確か

めることはできませんが、もし、利益があ

まり得られないために従業員数を絞ってい

たとしたら、店長は、大きな間違いをして

いるということは明らかです。


確かに、飲食代の安さは顧客を訴求します

が、このお店の「飲み放題」は「看板に偽

りあり」と思われてしまえば、顧客からの

信用を失ってしまいます。


すなわち、事業の現場を見ることなく、机

上の数字だけを見て給与を減らすという短

絡的な判断をすることは、かえってお店の

業績を下げてしまいます。


と、ここまで書いてきたことは、安易に固

定費を削ることは賢明でないという主張を

しているように、受け止められてしまうか

もしれません。


確かにそういう面もあるのですが、固定費

を削減するという手法をとらなければなら

なくなった事業については、早晩、息切れ

してしまうということの方に、もっと注意

しなければならないと私は考えています。


すなわち、価格競争を始めてしまえば、経

営資源の小さい中小企業では、あまり長い

期間を戦うことができません。


では、どうすればよいのかということにつ

いては、文字数の兼ね合いから割愛します

が、安易に固定費を削ろうとする経営者の

方たちは、事業そのもので競争力を高めよ

うとしかしていないのだと思います。


現在は、マネジメントで差をつけなければ

競争に勝てないということに着眼しなけれ

ば、勝つための戦略を編み出し、実践する

ことはできません。


ただ、マネジメント能力を高めることが容

易ではないことも事実なので、安易な価格

競争を行ってしまう選択をする経営者も多

いのでしょう。

 

 

 

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