鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行はひとのふんどしで相撲をとっている

先日、ブログを書くことで事業を改善する

手法を薦めておられる、経営コンサルタン

トの板坂裕治郎さんのブログを拝読しまし

た。

 

このブログの記事で、板坂さんは、安易に

お金を借りようとせず、その前に、お金を

借りなくてすむ工夫をすることが大切だと

述べておられます。


私もこれに同感で、このように書いては失

礼になるかもしれないのですが、融資を受

けたいという経営者の中には、あまり計画

的な手法をとらず、成行で事業を運営を続

け、その結果、資金不足になって、銀行に

融資を依頼するという方が少なくないよう

です。


そのため、資金不足の原因が、事業で採算

が得られていないことであるにもかかわら

ず、そのことを経営者が把握していないと

いうこともあります。


でも、板坂さんのご指摘のとおり、事業改

善の工夫をすれば、採算のとれない事業は

避けるようになるし、まったく融資を受け

ずにすむ状態にはならないまでも、最低限

の融資だけを受けるだけですむようにもな

ると思います。


ところで、今回の記事の趣旨は、融資を受

けないで済むよう工夫をしましょうという

ことではありません。


前述の板坂さんのブログの記事に、資金繰

の相談をしてきた経営者が、金融機関から

なかなか融資を受けられないので、自社に

投資をしてもらうことにしたと言っていた

が、その場合、経営者自身が投資をしても

らう相手を探さして投資を交渉しなければ

ならないと、書いています。


当然ですよね。


銀行の役割のひとつは、融資(投資)を受

けたい会社に対して、その依頼する相手が

1か所で済むようにするということです。


これを、金融仲介機能といいます。


もし、銀行がなかったら、1,000万円

の融資を受けたい会社は、100万円を融

資してもいいという人を10人探したり、

10万円を融資してもいいという人を10

0に探したりしなければなりません。


そういう意味で、融資を受けたい会社に対

して、銀行は利便性を提供しているという

ことになります。


ですから、前述の板坂さんに相談した経営

者の方は、金融機関がなかなか融資をして

くれないといっても、自社への投資をして

もいいという人を探すことの方が、もっと

大きな労力を要するということを、理解し

ておられないのかもしれません。


ところで、「銀行は人のふんどしで相撲を

とる」と、よく、揶揄されることがありま

す。


これは、銀行は預金者から集めたお金を融

資しているだけなのに、融資を受けたい会

社に対して、まるで自分のお金を融資する

ような態度をとるというようなことを批判

しているのでしょう。


しかし、銀行は、前述の金融仲介機能の役

割を担っていることを分かっており、むし

ろ、「ひとのふんどしで相撲をとる」こと

を積極的に行っています。


すなわち、流通業の会社が、販売する商品

仕入れたり、製造業の会社が製品を製造

するための材料や部品を仕入れたりするこ

とと同様に、銀行も、融資を受けたい会社

に融資をするためのお金を、預金者から懸

命に集めています。


また、銀行が融資する相手を吟味するの

は、預金者が安心して銀行に預金できるよ

うにする意味もあります。


今回の記事の結論は、銀行はひとのふんど

しで相撲をとっているけれども、それは、

預金をしたい人と、融資を受けたい会社の

利便性を高めていることでもあり、そう考

えれば、融資を受けたい会社から見て、銀

行から融資を受けることが、実は最も労力

が少ないと受け止められるようになるので

はないかということです。

 

 

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