鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業改善の当事者

先日、日産のゴーン前会長が金融商品取引

法違反で逮捕された問題に関し、同社を監

査した監査法人の責任が問われるのではな

いかという旨のを読みました。

 

(ご参考→ https://goo.gl/mvcJ9M


しかし、私は、以下のような理由から、同

社で強大な権限を持っていたゴーン氏の違

法行為を事前に見抜くことを、監査法人

求めることは酷なのではないかと考えてい

ます。


その理由のひとつは、監査は、会社のすべ

ての取引を検査するのではなく、プロセス

に問題がないかを見ることが役割であると

いうことです。


これは、もれが起きる可能性もあるとも言

えますが、もれが起きないようにするには

全量を確認することになり、物理的に困難

です。


ふたつめは、監査法人公認会計士や職員

は、被監査会社に常駐はしていないという

ことです。


監査法人公認会計士や職員は、定期的に

被監査会社を訪問はするものの、その頻度

では、これもトップの違法行為を見抜くこ

とは困難でしょう。


確かに、監査法人が会社の違法行為を見抜

くことができればそれに越したことはあり

ませんが、前述のような前提であれば、ど

んなに優秀な監査法人でも限界があると言

えるでしょう。


ところで、立場は異なるのですが、私も、

コンサルティングの顧問先から、従業員と

同じくらいの会社に関する状況を把握して

おいて欲しいという要望を受けることがあ

ります。


私も、なるべく、そのような要請に応じる

努力はしますが、それには、前述の監査法

人と被監査会社の関係と同様に、限界があ

ります。


コンサルタントは、顧問先の会社に常駐し

ないし、また、すべての取引を見ているわ

けではありません。


すなわち、事業を改善しようとする日常的

な活動は、コンサルタントのような外部専

門家では行うことはできないので、経営者

と従業員が自ら行わなければならないこと

が前提ということです。


これは、当たり前のことを述べていると感

じるかもしれませんが、経営者の方の中に

は、「コンサルタントコンサルティング

を依頼したのだから、事業の改善はコンサ

ルタントに任せよう」と考えてしまう方も

少なくありません。


ここは意見の分かれるところなのですが、

私は、コンサルタントは顧問先の事業改善

の「当事者」になってはならないと考えて

います。


これを言い換えれば、コンサルタントに当

事者になって欲しいと考えている経営者の

方は、自分で解決できそうにない課題がで

きたら、コンサルタントに代わって解決し

てもらおうという意図があるのでしょう。


確かに、事業の効率化のためにアウトソー

スできる部分はアウトソースすることは必

要ですが、事業の改善活動は外部に依頼し

てはならないし、依頼できるものでもない

ということが、今回の記事の結論です。


ちなみに、日産の事件の件は、経営トップ

に遵法の意識がなければ、その責任の一端

を外部専門家に求めることは筋違いである

と思います。


また、これは現段階では断言できないもの

の、経営トップの不法行為について内部告

発があったということは、日産の役職員に

は、自らが会社をよくしようと考えている

志の高い方がいるということの表れだと思

います。

 

 

 

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