鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2つの資金管理

この件は、これまで何度か書いてきている

ことなのですが、資金管理で苦心している

会社が少しでも減って欲しいと思い、別の

切り口から書きたいと思います。


会社の資金管理は、現金(預金を含む)の

残高(流動性)と、利益の多さ(収益性)

の2つが必要ということを、私は、これま

で述べてきました。


しかし、資金繰に苦心している会社では、

現金残高のみを管理していることが多いよ

うです。


その理由として考えられることは、現金さ

えあれば、事業を継続できるからです。


そして、現金が少なくなったとき、銀行に

依頼して融資を受けることで、さらに事業

の継続が可能になります。


また、もうひとつの理由として考えられる

ことは、現金の管理は簡単であるというこ

とです。


現金の残高は、金庫(および銀行の預金口

座)にいくらあるかを確かめるだけで明ら

かになります。


そして、支払い予定額よりも、現金の残高

が少なければ、不足額がいくらかもわかり

ます。


ところが、現金の残高を管理するだけで

は、銀行からの融資を受けることはできま

せん。


会社の営む事業でいくらの利益が得られて

いるかということを、銀行に説明しなけれ

ばなりません。


その理由も説明するまでもありませんが、

事業で赤字が続けば、会社の財産が減って

しまい、融資をする側としては、融資した

お金が返ってこなくなる可能性が高まるか

らです。


また、会社の事業の目的そのものが利益を

得ることなのですから、もし、会社が、利

益が得られているかどうかを管理していな

いとすれば、それはおかしなことです。


さらに、利益が得られれば、利益から差し

引かれる税金と配当の残りが会社の蓄えと

なり、その分だけ、資金調達をする必要が

なくなります。


ところが、利益管理は、現金管理より煩雑

という難点があります。


特に、仕入額(これを直接費といいます)

の管理は比較的容易であるものの、経費、

給与、家賃などの固定的な費用(これを間

接費といいます)の管理は、事後的でない

と把握できなかったり、どのように商品の

原価に反映させればよいかの判断が難しい

という特徴があります。


ちなみに、詳細な説明は割愛しますが、私

は、利益管理を苦手にしている経営者に対

して、直接費と間接費の管理方法に、標準

原価計算の考え方を採り入れることで、容

易になるという助言をしてます。


また、利益管理ができるようになれば、利

益が得られる商品は何か、利益の得られる

顧客は誰か、利益の得られる販売地域はど

こかということなどが把握でき、事業の精

度を高めることもできます。


今回の記事の結論は、会社の資金管理は2

つ必要であり、特に利益管理ができるよう

になるだけでも、事業の継続が容易になる

ということです。


(本文中の、直接費と間接費に関する説明

は、理解を容易にするため、正確さを犠牲

にしていることをご了承ください)

 

 

 

 

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