鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

迷惑をかけたくない

先日、竹野内豊さんが主人公の弁護士役を

演じている、テレビドラマ、グッドパート

ナー( https://goo.gl/5Y52Eh )の第6話

を、Amazonプライムで見ました。


ストーリーは、東京都内に5つの店を持つ

そば店の社長が、経営不振になり、銀行か

らの融資が3億円に膨らんだが、「従業員

や取引先に迷惑をかけるわけにはいかない

ので店を潰すわけにはいかない」と、竹野

内さんが演じる咲坂弁護士に相談に来ると

いうものです。


私が銀行に勤務していた時や、コンサルタ

ントになってからも同様の事例は見てきて

いるので、そば店の社長の気持ちも十分に

理解できます。


ただ、会社が倒産して迷惑がかかるのは、

従業員と取引先だけではなく、その会社に

融資をしていた銀行も含まれます。


ちなみに、これは蛇足ですが、前述のテレ

ビドラマでは、咲坂弁護士が、そば店に融

資をしていた銀行に債務免除の交渉に出向

いており、「咲坂さんは、銀行に債務免除

をさせることは、銀行に迷惑をかけること

になると考えていないのだろうか?」と疑

問に感じました。(笑)


話をもどして、会社が倒産すると、銀行も

迷惑を被るということは、多くの方に理解

していただけるのですが、実は会社が倒産

する前から「迷惑」がかかっているという

ことを理解している人はあまりいません。


というのは、銀行は、融資先の業況によっ

て、貸倒引当金を計上しているからです。


すなわち、業況の悪い会社への融資は、あ

る程度、融資が返済されないということを

見込んで、その見込み額を費用にしている

ということです。


前述のテレビドラマのそば店では、3億円

の融資があり、かつ、同社は債務超過の状

態ということになっていたので、もし、3

億円の融資に担保がなければ、3億円の約

70%の2.1億円の貸倒を、銀行は見込

んでいる(すでに費用として計上してい

る)ことになります。


なお、70%というのは、おおよその割合

で、銀行によって異なります。


また、担保がある場合は、融資額から担保

処分見込み額を差し引いた金額に対して、

70%の貸倒を見込みます。


ちなみに、これも銀行によって異なります

が、要注意先(赤字の会社)への融資につ

いては、約5~10%の貸倒額を見込んで

います。


したがって、銀行が、黒字の会社に融資を

したのち、その会社が赤字になってしまう

と、約5%の貸倒見込み額を費用として計

上しています。


銀行のこのような会計処理は、会計的には

妥当な処理で、会計を学んだ方には容易に

理解していただけるのですが、あくまで内

部の処理であり、一般的には銀行は融資相

手の会社には伝えていません。


ただ、「銀行は晴れの日に傘を貸そうとす

るが、土砂降りの日には傘を取り上げる」

と揶揄されることがありますが、銀行が赤

字の会社に融資を避けようとするのは、赤

字の会社に融資をすると、最初から貸倒を

見込むことになるからという事情もありま

す。


このことについてどうあるべきかというこ

とは置いておき、銀行の会計処理で、融資

相手の会社の財務状況によって銀行は貸倒

を見込むことになるということを理解して

おくと、銀行の考え方もより深く理解でき

るようになるでしょう。

 

 

 

 

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