鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

約束は破るかもしれない

私が銀行のある支店で勤務していたときの

ことですが、私の上司が、支店の近所にお

住いのある作家の方に取引の依頼をして、

その結果、大口の取引をしてもらうことに

なりました。


そして、あるとき、その上司が出張のため

に支店に不在となったことから、私がその

作家の方の家に、上司に代わって定例訪問

に行くことになりました。


その際、その作家の方のご夫人とお話をし

ました。


ご夫人は「新井さん(上司の名前・仮名)

が、初めてうちに来て、取引して欲しいと

頼まれた時、『銀行の人って、最初のうち

は丁寧に接してくれるけれど、そのうちだ

んだんとぞんざいになるんじゃないんです

か?』ときいたら、新井さんは『確かにそ

ういうことは起きるかもしれませんね、で

も、100%お約束はできませんが、そう

いう銀行にならないよう、私は後進を指導

して行きたいと思っています』と言われ、

取引をすることにしたんです」という取引

開始の経緯についてお聞かせくださいまし

た。


ご夫人は、もし、上司が「そんなことはあ

りません、ずっと大切なお取引先として丁

寧に接するようにいたします」と回答して

いれば、「できない約束をする銀行職員」

と判断して取引を断ったかもしれません。


でも、前述のとおり、私の上司は、自分に

不利になる指摘であっても、正直にそれを

認めた点が、逆に、正直な人であって、も

し、これから銀行との取引においてご夫人

が困るようなことがあっても、ご夫人の味

方になってくれる銀行職員だと判断したの

だと思います。


よく、「営業マンは商品ではなく自分を売

る」と言われますが、私の上司は、その定

石通りのことをしたのだと思います。


でも、この定石を実践することは口でいう

ほど容易ではないと思います。


顧客に「この人は裏切らない」と思っても

らえるようになるには、研修で学ぶだけで

は足らず、常に自分がどうありたいかとい

う固い意志をもって経験を重ねることが欠

かせません。


私は営業は苦手なのですが、このような上

司を見て、テキストだけでは学ぶことがで

きない、営業マンに大切なものを知ること

ができました。

 

 

 

 

 

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