鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

典座の教え

以前、ラジオ番組で、曹洞宗の開祖、道元

禅師の教えのひとつである典座教訓につい

て聴いたことがあります。


(ご参考→ https://goo.gl/CcjAz4


この番組では、道元禅師が宋に留学してい

るときの経験が紹介されていました。


ひとつめは、道元禅師が天童山景徳寺で修

行していたとき、夏の暑い日照りの中、高

齢の典座(てんぞ、寺院で食事を用意する

役割の僧)が庭で椎茸を干しているところ

を見たそうです。


そこで、道元禅師は、「あなたはご高齢な

ので、無理をなさらず、ほかの僧に代わっ

てもらってはいかがですか?」と尋ねたそ

うです。


これに対してその老僧は、「ほかの人に代

わってもらえば、自分がやったことにはな

らない」と答えたそうです。


そこで、道元禅師は、「いまは太陽が照っ

て暑いので、別のときに干してはどうです

か?」と尋ねたところ、老僧は「いまこの

時間にやらないで、いつやるのか」と答え

たそうです。


この会話で、道元禅師は典座の役割の重要

さを感じたそうです。


もうひとつの経験は、道元禅師が宋の港に

着いて上陸許可が出るまで船で暮らしてい

るとき、阿育王山広利寺の高齢の典座が、

日本から運ばれてきた桑の実を買うために

その船に来たそうです。


そこで道元禅師は、「食事の用意は他の方

が代わってくれるでしょうから、ゆっくり

されてここで食事をしていってはどうです

か?」と申し出たそうです。


これに対し、その老僧は、「典座の役目は

高齢の私にもできる修行なので、他の誰か

に代わってもらうわけにはいきません」と

答えたそうです。


これを聞いて道元禅師は、修行に臨む姿勢

の大切さを感じたそうです。


これらのエピソードから学ぶところはたく

さんあると思いますが、私は、働くことを

どう考えるべきかということが大切だと感

じました。


このエピソードを聞いたとき、私は、京セ

ラ創業者の稲盛和夫さんが、「働くことは

単に生活のためだけに働くことでもなく、

また労働力を搾取されることでもなく、心

を高めることだ」とお話しされておられた

ことを思い出しましたが、道元禅師の気づ

きもこれに通じるものがあると思います。


(ご参考→ https://goo.gl/719GyB


正直なところ、私は、仕事をする目的の中

に生活を維持することが入っているため、

できるだけ楽で効率的な方法を選んでしま

います。


それはそれで、ある程度までは業績を大き

くすることができると思いますが、恐らく

限界があるのだと思います。


道元禅師が宋で出会った典座のような高い

志がなければ、後世まで語り継がれるよう

な感動を道元禅師に与えることはできない

でしょう。


また、京セラが優良企業として評価される

ようになったのも、単に、効率化を進めて

きたのではなく、稲盛さんのような強い志

があったからでしょう。


今回の結論はやや抽象的ですが、大きなこ

とを成し遂げたり事業を大きくするには、

強く高い志が必要になるということです。

 

 

 

 

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