鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

透明性が士気を高める

コレットチャック(工作機械にワーク (加

工対象) を固定する工具)などを製造して

いる、ジャスダック上場会社、エーワン精

密の創業者、前社長、現相談役の梅原勝彦

さんのご著書、「日本でいちばんの町工場

エーワン精密の儲け続けるしくみ」

( https://amzn.to/2I2qi43 )を拝読しま

した。


同社の特徴は、利益率の高さです。


平成30年6月期の経常利益率は約30%

となっています。


この利益率の高さを実現させている方法に

ついては、同書にたくさん書かれているの

ですが、私は、その根底にあるのは、透明

性を高めていることだと思います。


梅原さんは同社の経営方針について「社員

第一」と述べておられますが、具体的には

会社の透明性を高めることで、「会社は社

員を大切にしている」ということが社員に

伝わるようにしているのだと思います。


例えば、同社では、「各人の給与明細には

基本給や各種手当とともに、会社があげた

毎月の利益を、成果に応じて一人ひとりに

配分した額が記載され、その合計が賞与と

して、半年に1度支給されるしくみになっ

ている」そうです。


そのため、かつて、一般社員に、300~

400万円の賞与を現金で支給したことが

あり、その時は「夫が会社のお金を盗んで

きたのではないか」と心配になった社員の

妻が、会社に電話をしてきたこともあった

そうです。


この、会社の会計情報を社員に公開するこ

とについては、決して社長がもうけを独り

占めしたいと思っているわけではなく、も

し、業績が悪くなったときには、社員に心

配をかけてしまうことになるので、それを

避けたいという考えで、あえて公開しない

という方針の会社も多いと思います。


このふたとおりの考え方については、私は

どちらも間違っていないと思いますが、梅

原さんの場合は、「社員を第一に考える会

社だから、社員のがんばりも信じる」とい

うように考えているのだと思います。


エーワン精密では、社員に対して会社の業

績を明らかにすることで、社員は会社が自

分の努力に報いてくれていると感じられる

ようになったからこそ、士気が向上し、利

益率の高さを実現させていることは明らか

でしょう。


ですから、仮に業績が下がれば、社員もな

お一層の努力をしてくれることになり、業

績の回復も早まるのではないでしょうか?


いずれにしても、会社の業績を公開すると

いうのは、会社の事業が、家族的経営から

組織的経営に変わるためのひとつのステッ

プであると思います。


そして、家族的経営よりも組織的経営の会

社の方が強い会社になるということも明ら

かでしょう。

 

 

 

 

 

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