鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

お金のことは税理士に任せている?

私が銀行勤務時代に、融資をしている会社

の社長から、「お金のことは税理士に任せ

ている」という言葉をよく聞きました。


これは、一見すると、当たり前のように思

われるかもしれませんが、私は避けるべき

ことと思います。


このような言葉が聞かれるひとつの要因と

して、多くの経営者の方は、税理士の仕事

は、会社のお金の管理をしてくれることと

思っていることが考えられます。


もちろん、税理士の方はお金の専門家です

ので、会社のお金の管理する能力を持って

いると思いますが、税理士業務は顧問先の

お金の管理をする業務ではないということ

は、あたりまえのようで意外と認識されて

いないようです。


税理士の方は、顧問先の会社の税金の申告

をその会社に代わって行うことが本来の仕

事で、顧問先のお金の管理までは一般的に

は請け負うことはしていません。


もちろん、前述のように、税理士の方は高

い能力を持っているので、税金の申告に加

えて、会社の財務内容を改善するための助

言を行う方もいますが、その場合、一般的

な顧問料に加えて助言に相応する報酬を受

け取って行っていると思います。


しかし、多くの中小企業では、月額で数万

円、中には1万円程度の顧問料で税務顧問

を依頼していると思いますが、その範囲で

は、最低限の税務申告に限って顧問をして

いると思います。


そこで、銀行から、例えば、「商品別の売

上推移を教えてください」と依頼されたと

き、経営者が「お金のことは税理士に任せ

ている」と考えていたとしても、顧問税理

士の方は、一般的には、税務申告に必要な

数値しか把握していないので、商品別の売

上推移を即答できることはあまりありませ

ん。


ここで、今回の記事のポイントは、会社経

営者の方は、税理士の方の仕事を正確に把

握していないということが問題ということ

ですが、これは真の問題ではありません。


経営者の方が、会社の数字に関心がないこ

とが真の問題です。


仮に、税理士の方が、会社のすべての数字

を把握していたとしても、顧問税理士の立

場とすれば、顧問先への助言までにとどま

り、会社の意思決定に口を出すことはでき

ません。


最終的には、経営者自身が、会社の財務状

況を見て、事業運営をどのように行うかを

判断しなければなりません。


そこで、税理士の方は、せっかく会社の数

字を把握しているわけですから、事業の改

善の速度をあげるために、もっと経営に役

立つ情報を提供して欲しいと依頼して、経

営者自身が適時、かつ、的確な方針決定を

することが望ましいと言えます。


その場合、税理士の方の顧問料も増えるこ

とになると思いますが、事業の改善の効果

から見れば、わずかな額でしかないでしょ

う。

 

 

 

 

 

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