鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業と会社は切り離せない

よくご相談を受ける例なのですが、赤字が

累積し、銀行からの融資額も多い会社が、

現状を打開するために、新しい事業を始め

ようと考え、そのために新規融資を受ける

にはどうすればよいか、というものがあり

ます。


融資を受ける側とすれば、確かに会社の財

務状況はよくないものの、新しい事業では

収益が期待でき、その新事業によって収益

を得ることができれば、これまでの融資の

返済も円滑に行えるようになる、という考

えのようです。


ところが、このような事例は、私の知る限

りでは成功した例はありません。


その理由については、それぞれの事情もあ

り、明確にこれというものを示すことは難

しいのですが、私は、おおよそつぎの2つ

のような理由があると考えています。


ひとつめは、つまるところ、融資相手を信

用できないというものです。


融資を申し込む側としては、会社は評価さ

れなくても仕方ないけれど、新しい事業は

会社とは切り離して評価して欲しいと考え

ていると思います。


ところが、銀行の融資審査では、そのよう

な考え方は、受け入れてもらえないようで

す。


これは、厳しい言い方になりますが、もし

新しい事業で業況を回復できると考えるの

であれば、もっと早い段階でできているは

ずだと考えます。


さらに、仮に、新事業が成功の可能性が高

いとしても、少なくとも、新事業のプロセ

をきちんと管理し、報告してもらえるかと

いう面で不安を持ちます。


事業再生では、少なくとも1か月単位でモ

ニタリング(事業の経過報告)をしてもら

いますが、事業再生でなくても、既存の事

業があまり芳しくない会社への融資は、そ

れに準じた融資管理を行いたいと銀行は考

えます。


しかし、繰り返しになりますが、これまで

事業を好転させられなかった会社の経営陣

が、新事業についてきちんと計画に基づい

て軌道に乗せることができるかどうか、や

はり不安を感じることが多いと思います。


もうひとつの理由は、新事業への融資や、

新事業から得られた利益が、既存の事業の

赤字補填に流用される可能性があるという

不安を持たれるからでしょう。


結論としては、土俵際に立たされた会社が

業績を回復するための融資を受けるには、

単独で挽回しようとしても支援は受けにく

いので、中小企業再生支援協議会など、外

部の専門家の意見を採り入れた、客観性の

高い事業計画を基に、銀行に支援を求める

ということが基本になるということです。

 

 

 

 

 

 

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